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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《神州天馬侠(しんしゅうてんまきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 頁
一
人穴城がやけた轟音は、このへんまで、ひびいたとみえて、家に落着けない里の人があっちに一群れ、こっちにひとかたまり、はるかにのぼる煙へ小手をかざしながら、今朝もガヤガヤあんじあっていた。
「おい、与五松」
そのうちのひとりがいった。
「おめえの家で、ゆうべ宿をかした旅の客があったな。なんだかこわらしい顔をしていたが、物しりらしいところもある、一つあの客人にきいて見ようじゃないか」
「なるほど、矢作がいいところへ気がついた、どこに戦があるのか、あの人なら知っているかもしれねえ、はやくお呼びもうしてこいやい」
「あ、その人は、おれがでてくるときに、先をいそぐとやらで立ち支度をしていたから、ことによるともうでかけてしまったかもしれねえが、おいでになったらすぐ連れてこよう」
与五松という若者は、すぐじぶんの家へかけだしていった。ちょうど、立ちかけているところへ間に合ったものか、しばらくすると、かれはひとりの旅人をつれて一同のほうへ取ってかえしてきた。
「あれかい、与五松の家へとまった、お客というのは」
里の者たちは、袖ひき合って、クスクス笑いあった。なぜかといえば、片鼻そげている顔が、いかにも怪異に見えたのである。