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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《神州天馬侠(しんしゅうてんまきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 頁

青空文庫

二

たちまちの乱軍に、梅雪入道がこうさけんだのも、もっとも、大切な駕籠はほうりだされて、いつのまにか、警固の武士はみなそのそばをはなれていた。

「心得てござります」

いち早くも、梅雪の前をはしりぬけて、れいの――伊那丸がおしこめられてある鎖駕籠の屋根へ、ヒラリととびあがって八ぽうをにらみまわした者は、別人ならぬ小幡民部であった。

かりにも、乗物の上へ、土足で跳ひあがった罪――ゆるし給え――と民部は心に念じていたが、とは知らぬ梅雪入道、ちらとこの態をながめるより、

「お、新参の民蔵であるな、いつもながら気転のきいたやつ……」

とたのもしそうにニッコリとしたが、ふとまた一ぽうをかえりみて、たちまち顔いろを変えてしまった。

二

咲耶子がふった横笛の合図とともに、押しつつんできた人数はかれこれ八、九十人、それに斬りむかっていった穴山方の郎党もおよそ七、八十人、数の上からこれをみれば、まさに、そうほう互角の対陣であった。

しかし、一ぽうは勇あって訓練なき野武士のあつまり。こなたは兵法のかけ引き、実戦の経験もたしかな兵である。梅雪入道ならずとも、とうぜん、勝ちは穴山方にありと信じられていた。