輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《神州天馬侠(しんしゅうてんまきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 頁
「こういうわけで、おれはいまでも、その恨みを忘れやしねえ。この龍巻の息のねのあるうちは、きっと、あの伊那丸と小幡民部の野郎を、取ッちめずにはおかねえつもりだ」
「そうか……」
と、呂宋兵衛は、聞きおわって、
「してみれば、伊那丸一族は、この呂宋兵衛にも、龍巻にとっても、遺恨のつもりかさなるやつ。おれもこれから京へのぼって、秀吉公の力を借り、武田一族を狩りつくすさんだんをするから、てめえも折さえあったら、この仕返しをすることを忘れるなよ」
「いわれるまでもないことだ。……オオそりゃいいが、さっき、兄貴がつれていた男はどうしたろう」
「ウム、すっかり忘れていた。あの槍襖におどろいて、胴の間のすみで、気を失っているかもしれねえ。……なにしろ裾野の鏃鍛冶で、おそろしい修羅場は知らねえやつだから」
すると、そこへばらばらと、櫓へ駈けあがってきた手下のひとりが、
「お頭領、さっきのどさくさまぎれに、もうひとりの男が、艫の小舟を切りおとして、逃げッちまったようですぜ」
「なに、卜斎が逃げてしまったと?」
それと聞いて、呂宋兵衛は、はじめてかれに疑いをいだき、櫓の欄に駈けよって、漆のような海面を見わたしたが、もとより一片の小舟が、ひろい闇から見いだされるはずもない。