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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(一)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 246,214 字 · 495 頁

青空文庫

妓たちには、木石様とアダ名され、いつも面白くなさそうだった。帰ったのなら、帰ったでよい。何せい木石様のことだ。仔細なし、仔細なし」

そこへ灯が運ばれて来る。

燭台の一つ一つは白い手に持ち捧げられていた。君立ち川、六条などの遊君や白拍子たちだった。月例、欠かさぬ二次会なので、馴じみでない客、馴じみでない妓はない。

「やあ万珠、ここへまいれ、ここへ」

「やよ、篠笛。そちらの酌が先とはどうしたわけ。さきの後朝を忘れてか」

灯は新しく、酒は美味い秋の宵である。まだ無礼講も序の口なのに、どんなわるさを始めたのか、はやくも、片隅の方では、きゃっと、くすぐッたげな嬌笑が流れるやら、杯の満をひいて、朗詠を吟じ出す者などあった。

小膝を銅子がわりに叩いて、朗詠を吟ずるなどは、まだまだお上品な方。

「法印。得意の猿楽はまだかの」

「それよ、いつものお道化を見せ給え」

「所望、所望」

すると、聖護院のなにがしと、日頃は、もっともらしい名聞もある一僧が、

「さらば罷らん。ご所望、もだし難う候えば」

立ち際からの狂言ぜりふで、すぐ丸裸となり、宴のまん中へ這い出して来た。

人々はもう腹を抱えて、