輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(一)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 246,214 字 · 495 頁

青空文庫

放生池の水は燃え、大鳥居の朱も、墨の夜空に浮きあがって、その下を今、こよい足利家に入る花嫁の列が流れ初めていた。

「はや、先駆が」

「御一門の騎馬のお列も」

若宮から東、横大路いったい、黒い人垣のとだえもない。

みな盛装の花嫁を見ようとするのらしいが、華麗な塗輿のキラめきは過ぎたものの、御衣の端も見えなかった。

輿にはまた、幾つもの女輿がつづいて行った。

お供の大女臈、小女臈、侍女、すべて蒔絵轅の美しい小輿であった。

さらに供侍や、小者までも、晴れ着ならぬ者はない。当夜持参の嫁入り調度も、まばゆいほどな列だった。――三ツ鱗の大紋打った素襖、烏帽子の奉行の駒を先にして、貝桶、塗長持、御厨子、黒棚、唐櫃、屏風箱、行器など、見物の男女は何度も羨望の溜息をもらしていた。

この宵、ともされた松明だけでも、千本はくだるまい。若宮の社頭から大蔵ヶ谷まで、灯でつながったといってよい。

もっとも、花嫁の輿が、赤橋家の門を出たのを合図に、聟方の屋敷でも、門をひらき、

「それ」

と親族、媒人の一群が、松明をかかげて、途中まで、姫君の迎えに来る。

そして、嫁方の庭燎の火を、途上で、こちらの脂燭に移し取った騎馬の使者は、それを先に持ち帰って、初夜の帳の燈台に点火しておく。