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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(一)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 246,214 字 · 495 頁
「そうか。そう分って、何やら胸のつかえが下がった気がする。みかど後醍醐のおそばには、なおまだ、ああした公卿振りの朝臣があまたおるのか」
「は。世上、つたえるだけでも、蔵人殿のほか、日野参議資朝、四条隆資、花山院師賢、烏丸成輔など、いずれも気鋭な朝臣がたが、これも豪気なるお若き天子に、つねづね侍き申しあげ、また政務をみそなわす記録所には、吉田定房、万里小路宣房、北畠親房の三卿を登用召され、世間ではそれを“三房ノ智”と申したりしておりますそうな」
「もっぱら宋学の新説を学びとり、儒仏の究理なども旺と聞くが」
「されば、天皇おみずからも」
「では、異国の学を鑑として、時弊を打ち破り、ひいては執権北条の幕府をもくつがえして、政治を遠きいにしえに回さんとの思し召でもあるか」
「あ。めッたなお口走りは」
たれか坪の渡りをこなたへ来るらしい跫音だった。が、顔を出したのは、引田妙源という法師武者。気づかいは要らぬこれも足利党腹心の一人であった。
妙源は手造りの草餅を盆にのせて、うやうやしく又太郎の前にすすめた。
「何かお慰みにと、初春の蓬など探させました。甘味は干柿の粉を掻き溜めたもの。