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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(一)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 246,214 字 · 495 頁
又太郎は、後ろへ言った。
「右馬介。どう答えよう」
「……せっかくなれば」
「そうだなあ、こちらは飄然たる旅人にすぎぬが」
「まず、大事ございますまい」
右馬介もやや警戒心をほぐした容子だ。眼に言外のものをいわせて頷き返す。
はやくも土岐左近は、佐々木高氏のそばへ駒を廻して行った。そして何かいていたが、すぐ取って返すなり、又太郎主従へ向ってこう告げた。
「佐々木殿には、なにぶん、ここは路傍のこと。ごあいさつもなりかぬれば、自身はお客人の先導として、一と足さきに屋形へ駈けん。……陽もまだ高し、後よりゆるゆる御案内して参れよとの仰せでおざった。いざ、お供いたしましょうず」
――なるほど、見てあれば、河原立ちしていた供人の同勢は、弓、長柄などを燦々とゆるぎ出して、もうそこの舟橋を彼方へ渡りかけている。
なぜか案内の土岐左近はやたらにしッしッと駒を追う。――ために磨針峠の上、番場の茶屋についたのも思いのほか早く、琵琶湖の夕照がまだ後ろにはよく見えた。
「どうぞ、お息休めに」
茶屋の床几には先発した佐々木家の臣十名ほどが待ちうけていた。青磁の馬上杯に銚子を添え持ち「……お水がわりに」