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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(一)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 246,214 字 · 495 頁
花競べ、歌競べ、虫競べなどの遊戯にならって、十種二十種の国々の銘茶をそろえ、香気や色味をのみくらべるのを“闘茶”といい、その闘茶にはまた、莫大な賭け物をかけたりする婆娑羅な人々もあるとは――高氏も、聞きおよんでいたことだった。
けれどいま、道誉が彼をみちびいた離れは、田舎びた無仏の一堂で、一幅の壁画と、棚には錫の茶壺、天目形の碗などがみえ、庭園の休み所らしい趣はあるが、闘茶の茶寄合の俗風はどこにもない。
「……ここなれば人けもなし、なんでも話せる。さ、高氏どの、くつろごうよ」
道誉は、釜のかけてある一炉を前にあぐらをくみ、土岐左近はと見れば、茶堂の縁や窓に立って、潜む者はないかと、外をたしかめているふうだった。
「じつは」
錫の茶壺から、碗のうちへ、茶の葉をサラサラとこぼし入れて、釜の湯を湯柄杓で汲みながら、道誉はいった。
「……胸をひらいて、いちど、山ほどなお話がしてみたかった。与えられたこのよい機会に」
高氏はすぐさとった。ここへ自分を誘ったには何かべつな底意があってにちがいないと。――が、さりげなく、天目台の碗を、掌にとって。
「おお爽やかな。このようなよい茶は足利では知らぬ。