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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(三)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 222,108 字 · 446 頁
が、恨むらくは兄へそれはいえず、城中の空気も、城外遠くの形勢も、すでに何を顧慮しているひまもなかった。
その晩から、翌々日あたりへかけて、ここへ迫りつつある敵の全貌もあらまし手にとるごとく映ってきた。
およそ鎌倉発向の東国勢は、四ツの流れをみせている。
第一軍は、大仏貞直を大将に、大和路から水越峠をへて赤坂をめざすもの。
第二軍の大将金沢貞冬は――河内讃々良から高野街道を南へと。
第三軍は、仙馬越前、北条遠江守、武田、江馬、渋谷、狩野などの諸族連合で、天王寺から平野街道を赤坂へ。
そしてまた第四軍は。
笠置との両端をかけながら伊賀方面を遊撃しつつある足利高氏の一軍――などだった。
すべてで、二万をこえる大軍だし、もちろん、彼らは赤坂の小城を眺めて、滑稽にさえ感じていた。――東国武者の大部分は、楠木だの正成などという名すら初耳であったのだ。だからここを主力とも、功名の主戦場とも見ず、尤なるものは、まず笠置の陣へむかっていた。
ところが、笠置はまもなく陥ちて、天皇以下、捕虜すべて都送りとなったので、俄に、全軍二万は、捲き返して、狭隘な赤坂城一つの下へ、ひしめき寄って来たのであった。