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しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(三)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 222,108 字 · 446 頁

青空文庫

それら諸家の軍装のあいだにも、紫紺、赤、くさ色、はなだ、小豆色など自家の色彩をさまざま誇る色一揆の傾向が現われかけていた。一目して「何家の誰」と分る実用上の便宜もある。

――話はそれたが。その日、道誉は、

「まず、これ以上には、さしたる変も起るまい」

と、市中一巡を終りかけていた。

今暁、諸所に蜂起した宮方の残党なるものも、数では知れたものだった。そしてその元兇も、大塔ノ宮の腹心の者で、いまなお叡山にいるという、殿ノ法印良忠なることがほぼ分った。

首魁の良忠は、どうやら、捕り逃がしてしまったらしい。だが各所で、残党の兵十幾人かは捕え獲たと、道誉は、途上の篝屋の者から聞いて、

「よしっ」

とばかり、さっそくその駒を六波羅へ向けかえていた。

彼の観察では。捕虜のうちには、かならず楠木勢の下にいた河内兵や、大塔ノ宮の部下もいるに相違ないと観たのである。

そして、これが中っていれば、さらに後醍醐の警固には一そうの緊密を要するがと思い、急に、北ノ探題越後守仲時と会う気になったものだった。

そこも六波羅広場のうち。俗に“樗門”と呼んでいる庁と別院の境にある一門の通路だった。