輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(三)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 222,108 字 · 446 頁

青空文庫

妬く人わろし

ともいっている。

だが獄中の後醍醐のおむねは到底“妬く”などでは尽くせぬものがあったであろう。松の内も暗くわびしく過ぎて、もう二月に近かったが、まま板屋の廂には氷柱の剣が垂れ下がり、朝々の冷えと寒さは、獄の男女を八寒の責め苦にさいなむものがあった。

「佐々木は見えぬか」

帝も幾度か仰っしゃった。

なぜか、道誉はこのところ姿をみせない。獄の給与も以前のように悪くなった。炭火一つ朝もなかなか運んで来ないのだ。侍者たちはぜひなく囲いの次の部屋で、白い息を凍らせながら手を揉み揉みじッと寒烈に耐えている。

が、帝の方はどうお凌ぎかとみれば、そこのお囲いには、板壁の高い所に、小さい角な切り窓がただ一つあった。

朝々のきわめて短い時間の一刻だけ。――もし晴天ならば、その高窓から四角い太陽の光が獄の底へ斜めに映し込む。

帝はよくその下へ御座をうつした。そこの方四尺にも足りない日光の下にあぐらして瞑想されるのであった。

そして三人の妃らへも、

「ここへ寄れ」

と、白いお息で招く。

三位ノ局廉子も、小宰相も権大納言ノ局も、帝のまわりにヒタと寄り添って、この一刻の貴重な太陽の恩にしばし温もるのが常だった。