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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁
と、義貞はまかせた。
やがて脇屋義助が、その経家と会ったのは、まだ夜のうちであった。経家が住む岩松村は、世良田の館から、馬なら一ト鞭の距離ではあり、さきに使いもうけていたので、経家はもう急な旗上げとなったことは聞いていた。
「いや、何とか思案もございましょうわい」
経家は、案外なほど、義助が持ってきた至難な任務を、むぞうさにひきうけて、
「では、ついそこまで、ご同道をねがったうえで」
と、彼をつれて、屋敷裏からすぐ近くの安養寺の地内へ案内して行った。
岩松の祖、新田義重をまつってある菩提寺である。また明王院と号する一宇の不動堂もある。
その不動堂の扉をたたいて、
「吉致、吉致」
と、彼はよんだ。
すると内から「おうっ」と、答えて顔を見せた男がある。これが、かの岩松吉致であったのだ。
あらためていうまでもないが、この吉致は、経家の弟で、かつては、島商人となって隠岐の配所へ近づいたり、また唐梅紋の海賊旗のもとに、後醍醐のご脱出を扶けたりしてきた、あの岩松吉致なのである。
「や、この深夜に」
と、驚き顔に。
「何事のお越しで?」
やがて、明王院の一室に小さい灯がともされた。