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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

夕顔晩歌

そして市況は活溌になり、景気を増すほど、庶民も新政を謳歌して、王政万々歳の御世を現じだすにちがいない――

「この案は、卓見だった」

と、廟堂の政客たちは、目さきだけをみて、新政府の経済面には、もうなんら憂いはないものと、楽観しだした。

だが、これをひどく憂えていた者がないではない。

万里小路藤房だった。

藤房は、天皇の簾下に伏して、

「悪貨が悪風を生むことは、目にみえておりまする。また重税のくるしみが、百姓に帰し、武士共々の怨嗟となることも疑う余地はございませぬ。新儀の令も、ほどほどにお発しなくば」

と、痛涙してお諫めした。

しかし後醍醐は笑った、

「今の例は、昔の新儀だった。朕の新儀は、また後世の先例となろう。藤房、そちには駸々たる時勢の歩みがわからんとみえるな」と。

夕顔晩歌

不気味な風はいつもどこやらに吹いている。

しかしたれもが深く意にとめようともしていない。あるいは、気がついても、思うことさえ無意識に避けるのらしい。むりもなかった。思うだけでもぞっとする。そういう者が多かった。

「こんりんざい、いやですね」

「おたがい、二度ともう戦は、まッぴらだ」