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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁
たにちがいないからだ。
節句すぎの六日から七日。新田ノ庄の領民は、とつぜん大恐惶におそわれていた。
富有な商戸や農倉を目ざし、強制的な戦時税の税物の供出が命ぜられて来たのである。
それも莫大な割当を、
「即日に」
という厳しさだった。
のみならず、しがない小農家の戸ごとへまで、銭何貫、あるいは、穀物、布、皮革、うるしなどの物税を課してきて、
「それぞれの庄家まで、ただちに持参せよ。おこたる者は、重科に処す」
との催促だ。
領民はふるえあがった。従来の貢物は、それぞれの庄家をへて、世良田の“みつぎ倉”へ運びこまれ、やがて牛馬車の列になって鎌倉ノ府へ輸送されていたのであったが、こんどはちがう。鎌倉幕府直々の徴命であるという。
なんで世良田のお館をこえて、直接こんな課税がきたのか。上のいきさつは、もとより彼らに分ろうはずもない。ただ鎌倉の御用ときかされ、また、陀羅尼院に滞在中の徴税使や、国府役人の恫喝に会って、
「このうえ何を出す物があるだよ」
と、隠し納屋の穴ぐらから自身の血肉を裂くような蓄えの物を取出していた。いや強奪にあったといったほうが彼らの気もちに近いだろう。