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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁
「さいさきはいいぞ」
「うしろで、赤城の山も見送っている」
「おお赤城の山とも」
「しばらくは……」
軍は、どこかで、朝兵糧をとったとしても、ひる頃には、本庄から武蔵ノ国児玉郡へ入っていたはず。そして比企郡の将軍沢、須賀谷を経、やがて高麗郡の一端をさらに南へ、女影ヶ原、広瀬、入間川という順に、いよいよ、武蔵野の青と五月の雲をのぞんでいた。
この間のこととされる。
はるか北の三国を越え、清水を越え、渋峠を越えて、例の“触れ不動”で急を知った越後新田の諸党も、手勢をつれて、それぞれに追いついて来た。
大井田経隆をはじめ、羽川、烏山などの諸将である。また、その使いを首尾よくした岩松吉致たちである。義貞もそれはよほどうれしかったにちがいない。また士気に一ばいの拍車をかけることも忘れなかった。
鞍つぼから身をのばして、彼は全軍の将士へいった。
「みな聞け。不思議の候うぞ。北越の一族がかくも早く来たり会すなどは、まったく八幡のご加護によろう。新田ノ庄を出ていらい、われには事ごと、吉瑞がある。行くところで味方は勝とう。戦は勝つ。勝つにちがいないぞ」
紫の一本
義貞の語尾について、全軍は、わあっ……と三たびの諸声をあわせた。