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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

宗家へのおわび、かつは武士として、身の面目の上からも」

「もっともだ。人はみな依然、赤橋を疑っている。兵馬を持たせて前線へ出すなど、とんでもないことだというだろう。……だが、高時はそう思わん。疑うくらいなら八ツ裂きにしてしまう。御辺に謹慎を命じおいたのは、坊主にでもなる心かと察したからだ。……が、そうではなく、やはり武士なれば武士で死にたいというならば、それもよからむ。一方の大将を御辺に託そう。戦ってくれ。高時も降伏などはせぬつもりだ」

守時は、落涙した。なんども、高時の床几を拝して、

「かたじけのう存じまする」

と、身を沈める。

その手をとって、高時は抱くように、彼を床几へかけさせた。

「赤橋。いまからは、御辺も一方の大将としてたのむのだ。もう謹慎の身ではない」

「不覚な態。面目もございませぬ。幾十日ぶりかで、守時の上にも、青空があったようなと、つい心をとりみだしまして」

「いや。御辺がこれへ来たことは、高時にもうれしいのだ。人間同士が信じられぬままでは何とも浅ましい。わけて高時は人一倍の淋しがり。わしの陣に、赤橋のごとき者が一人ふえたと思えば、心も少し賑やかになる」