輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁
くれぐれも念を押して、彼は門前の赤橋を渡って戻った。いや橋の上で立ちどまった。――そして行く谷水を見ていると、かつての年、妹の登子が足利家へ嫁いだときの白い姿や、あの夜のさかんな庭燎やらがふと目に浮ぶ。
ここを出るとき、花嫁すがたの妹は泣いた……。
倖せになれよ。
女は良人しかないものぞ。
もどるな。よい妻になれ、よい母に。
守時は忘れはしない。妹へ言った。鎌倉武門のあいだではあたりまえな庭訓だった。わけてその妹聟に高氏を選んだ責任の多くも兄の自分にあるとしていた。
守時は兄だが、両親とも早世だったので、父同様な心で登子を手もとにそだてて来たのである。で、実感からも責任感としても、彼には父以上なものがあった。それが今日の愛別の苦となっていた。――しかし、彼はいささかも悔いている色ではない。妹の良人高氏が、謀反とわかったときでさえ、そうかといっただけの彼だった。
ほどなく、赤橋守時の一軍は、前線のふせぎに急いだ。
その下には侍大将の南条左衛門高直以下の勢六万騎と、古典では誇張してある。が、実数はほぼ一万弱か。
それでも、府内の残存兵力とすれば少なくはない。