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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

ちょへい旋風

その中には、もと北条家の重臣だった降参の将も少なからず見え、また飛騨守にあげられた岩松経家も、入っていた。

「では、たのむぞ」

尊氏は、弟をそこまで送り出して、同時に東下する諸将たちへも、いちいち一顧ずつの別れを送った。――もちろん、この列は、いちど御所の郁芳門へ立ち寄り、成良親王のお輿を奉じて、それから立ったことなので、何かと手間どり、じっさいに都を出たのは、午ごろになっていた。

かくて奥羽にも鎌倉にも、幕府でない、新政体下の民政府ができ、一応、形はととのったかのようなうちに、元弘三年は暮れ、明けて、建武元年に入っていた。

ちょへい旋風

「あっ。もしっ……」

居酒屋の女はあわてて呼びとめたが、たらふく食ッて飲んで立った三人づれの侍は、もう六条の往来中を、もつれあって歩いていた。

するとすぐ、女に代って、店の亭主らしいのが、突ンのめるように、その三人を追いかけて行き、

「だんな、ご冗談を」

と、恐々ながら、何か片手の物をつき出して、哀訴にかかった。

「なに」

と、侍たちは、その手へ、ぎょろと一瞥をそそぎ合って。

「冗談とは何だ、冗談とは」

「どうぞ、その……召上がったお代を払っていただきたいんで」