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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

「そう、商売をね」

ほかの妓たちも、

「商売、商売」

と、気を揃えてはしゃぎ出した。

ばくち遊びなら何でも知らぬはない彼女らだった。ここのお館にも、投扇興や貝遊びや、また双六とか半弓の遊具なども備えてあるにちがいないが、そんな殿上遊戯はお上品すぎておもしろくない。さりとて、銭投げや賽コロのツボ伏せも、大道博奕じみるしと、喋々、協議のあげく、

「拳がいい」

「なに拳?」

「このごろ流行ってるあれよ」

「あれって?」

「お公卿拳よ」

ことばの弾みで、そういってしまってから、妓たちは、気がついたように、千種忠顕と佐々木道誉を見くらべて、急におなかを抱えて笑い合った。

「なにを笑う。お公卿拳とは、どうするのだ」

「悪いかしら」

「いや怒らん」

「なにも、わたしたちが考えた元祖ッてわけじゃないことよ。ただ流行ってるから真似しているのよ、よくッて」

そこで妓たちがする闘拳遊びを見ていると、拳の三則はふつうの拳とちがっていない。ただ狐と庄屋と猟人を、「公卿」と「天王さん」と「武士」に変えてあるだけのものだった。すなわち、公卿は天王さんに弱いかわりに武士には強く、天王さんは武士に弱くて、公卿には強い。