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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

しかも年上の親王たちをもさしおいて、廉子の産んだ恒良が、皇太子の位につき、はやくも次代の天皇に擬せられているなど、

「どこまで、帝を手玉にとって、のさばろうとする女か」

とも言いたいような感情であったろう。

そこへ近頃また、血統をやかましくいう公卿間では、

「准后のお血すじには、北条家の濃い血が入っている」

などの蔭沙汰が頻りにあり、

「ほんとか」

と、さっそく、しらべてみた者もある。ところがこれはたしかであった。

遠いさきではない。

源頼朝の弟に、阿野全成(幼名・今若)なるものがいた。

頼朝、義経の運命とおなじく、幼少の折、醍醐寺に入れられていたが、やがて頼朝の幕府に召しだされ、還俗して、北条時政のむすめ政子の妹、滋子と結婚したのであった。

滋子は、阿波ノ局ともよばれ、再婚の身で、一女子を連れ子して、全成に嫁いだらしい。

とかく不運な女性だった。

その不運にまつわるこんな話も有名になっている。

姉の政子も滋子も、ともにまだ父の北条時政の深窓に養われていた処女時代。

妹の滋子が、ある朝、吉い夢をみたことを姉にはなした。すると政子が「その夢を私に売っておくれ」