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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

ほか、東北大軍勢の

鎌倉殺到はほぼ近日に候らはん

とく、万々にそなへて

ご遺漏なからん事を

みぎ御下知に依而

火急 恐惶謹言

と、むすび「執事師直」の名のほかに、尊氏の袖判も附してあるのだ。

「……?」

一点の疑う余地もない密牒だ。宮の血はたぎりたった。尊氏もいまは懐柔策をあきらめ、近攻遠防の腹をきめたものとみえる。いよいよ尊氏と勝負を決する日が来たわえと。

そこへ殿ノ法印が、

「お使いにてお味方の千種どの以下、新田、名和、結城、塩冶そのほかの諸将は、はや、お広間のほうで、あらまし顔をそろえてお待ち申しあげておりまする」

と、知らせてきた。

とつぜんな宮御所の召集には、千種忠顕以下、たれもが驚いて馳せ参じた。そしてよく密議する一殿の凍るばかりな灯に対して、それぞれの吐く白い息が固く居ながれていた。

宮は、これへ臨むと、

「おもしろうなって来たぞ。尊氏の仮面も、しびれを切らし、ついに自分で仮面を剥ぎ出した」

と、まず笑って、

「くわしくは、良忠から一同へ告げわたせ」

と、説明をあずけた。

殿ノ法印はかしこまって、大事到来とばかり、その兆候をるると説明しだした。

今暁らい、六波羅には武士の参集が続々のぞまれ、五条大橋は、朝の巳ノ刻以降、一般に往来止メの札立てとなっている事実。