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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁
武者の幾人かは血ヘドを吐いたような声を発してよろめき仆れた。しかし、しょせんは、お力のおよぶところではない。宮の巨体もついには大勢の下に組み伏せられた。でもなお、五体を捻じりに捻じって、
「無念っ」
と、床板にこすりつけられたお顔が唇を噛み、
「なに奴だっ。なに奴が、かかる理不尽を」
と、罵り猛ッて休もうともしなかった。
あまりな暴れかたに、武士たちの後ろから、一人の将があらあらと言った。
「ぜひもない、お縄をかけろ。縄にして引ッ立てろ」
宮は、その声を知って。
「やや? そちは伯耆であるな。名和長年であるな?」
長年は横を向いた。正視にたえぬものらしい。宮は双手を後ろに廻された姿をわれから突ッ立ってその横顔へ罵った。
「長年。そちは人間か」
逆上は、ご無理もない。
身は天皇の御子――
という生れながらのご自尊からも無理でない。
武士下郎の輩の膝下にねじ伏せられて、荒縄の縛めをうけるなどは、およそ心外なと、おん目をつりあげ、
「なぜ答えぬっ」
と、答えぬ名和長年の横顔へ吠えたのも当然だった。
「唖か。畜生ゆえに口はないのか。長年っ。なんでこの護良に縄をかけた。