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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

――とにかくというのは、尊氏もまた、残党討伐にたいしては、あまり積極的ではないからである。

しかし、建武二年からの各地における残党蜂起は、それまでとはちがって、すこぶる活溌な動乱の相をおびてきた。

正月。

二月。

四月へわたって。

西は、長門だの伊予地方に。北は信濃、上野国にも。そのほか飛び飛びに近畿から東北まで、いわば野火か山火事のように、ここを消せばかしこ、そこを叩けば彼方で、といったような全土全面のいぶりであった。

「このままでは」

と、朝廷もようやくその蔓延の状に憂色を濃くしだしていた。天皇がたのむところは尊氏でしかない。尊氏はひんぱんに天皇のお召をうけた。また彼もよく天皇の寵遇におこたえして八方その鎮圧に力をささげた。断然、武族のあいだに声望のある彼の軍政がものをいって、

「伊予の乱もまずは」

と、終熄の報が到り、つづいては、

「長門の北条党も」

と、官軍の攻略によって、やや鎮まったとは聞えていた。

けれど、それで根絶したものとはかぎらない。同じ所、べつな所で、また火を噴くおそれはある。――なぜならば、全土の反乱は、名を北条残党にかりているが、あながち北条氏再興が絶対な目標ではない。