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こどうひゃくわ

胡堂百話

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《胡堂百話(こどうひゃくわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 124,386 字 · 248 頁

青空文庫

「大勢、来たのか?」

「いいえ、一人です。応接室で威張っています」

のちには、新聞社でも馴れっこになって、給仕なんかも平チャラだったが、まだ、そのころは初期である。ある一流の出版社で、明治大帝の大の字に、点が一つ付いたばかりに、いわゆる「犬帝事件」を起こして、危く社がつぶれそうになった時代である。川柳欄にも、何か誤植でもあったのだろうか……。

逃げかくれするわけにも行かぬから、度胸をきめて出てゆくと、型の如く、紋付を着て、肩をいからせている。

「キミが、時事川柳の係りか」

「そうだ」

「そうだとは何だ。そんな大きな顔をするな。キミは、それでも日本人か」

ヤブから棒に、日本人かときかれても、今さら、返事のしようがないから黙っていると、男は、今日の新聞を、ばんばんと叩きながら突き出して、

「ここを見ろ。この川柳を読んでみろ」

「は?」

「こんな川柳を、作るやつも作るやつだが、載せるやつは、もっと、けしからん。不敬罪だ。非国民だ」

私は心当りがないから、どの句だろうと首を伸ばすと、

「しらばっくれるのも、いい加減にしろ」

と、男が指で示したのは「なんとかの気もしらずに女房またはらみ」