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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁

青空文庫

休之助はかすかに唸った。

「役所や役人は金持とか勢力のある者に付くだ、わしらから搾り取った金で生きていながら、力のある者や富豪のために働くだ、決して弱い者や貧乏人の味方じゃあねえ、決してだ、――そのことは、自分が貧乏になり困窮してみればすぐにわかる、そう思えねえだかね、お武家さん」

休之助には返辞ができなかったし、老人も返辞を期待していなかったらしい。諦めたような溜息をついて、さらに続けた。

「おまけに、古木は江戸にも店と住居があって、どういう因縁かわからねえだが、紀州家のお屋敷へ親しく出入りしている、大納言さまの茶席へも出るほどだっていうでね、――御三家さまとそんなあいだがらなら、将軍さまへ直訴をしたってむだなこんだ、そう思ってからわしはすっかり諦めただよ」

「話をそらすようだが」

と休之助は坐り直した。

「その古木という者が、紀州家へ親しく出入りしているというのは事実か」

六

五郎兵衛は頷いた。

「それはもう、結城では知らない者はないくらいでさ、いつのことだったか、紀州さまが日光へ御参拝のとき、帰りに古木へお寄りなすって、三日も泊ってゆきなすったくれえだからね」