輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁

青空文庫

夜ざくら

一

おちづはまたぞっと寒気立ち、慌てて逃げだそうとした。しかしふと思い返し、土台石の隙間のところへ跼んで、

「手紙は取りましたよ」と低い声で云った。

「あたし字が読めないから、誰か安心な人に読んでもらいます、それからなんとかしますから、――きっとなんとかしますからね」

そして隙間へ耳を近よせた。

中からなにか聞えるかと思ったのである。だがなにも聞えなかったので、おちづはそのままそこを立ち去った。

夜ざくら

一

向島の青山大膳亮の下屋敷へ、珍しくつながあらわれた。

このまえ、万三郎を迎えに来て、怒って帰ってから、ちょうど十二日めのことであった。

「まあ、どうした風の吹きまわしかしら」

かよは艶然と笑った。

「あなたがわたくしを訪ねていらっしゃるなんて、ちょっと信じられませんわね」

「あなたはお笑いになるの」

つなは軽侮の眼で見た。かよは媚びたように首を振った。

「いいえ、笑うどころですか、きみが悪くって躯がちぢむくらいですわ」

「そんなにおちついていらっしゃるところをみると、あなたは知っておいでなのね」

つなは縁先に立ったままであった。

このまえの、万三郎とかよとの、不謹慎な姿がまだなまなましく、鮮やかに印象に残っていた。