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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁

青空文庫

九

そして伝次の繩を切ってやった。

九

「なに、放してやったって」

休之助は驚きの声をあげた。

「しっ、聞えますよ」

万三郎は見えもしないのに手を振った。

もう十一時をまわっているであろう。伝次を放してやって、その足で兄と交代するために、この崖の上へ来たのであるが、ちょっと話しかけるとすぐに、休之助はもういきり立つけしきをみせた。

「まあしまいまで聞いて下さい、こういうわけなんです」

万三郎はよくわかるように話した。

伝次を帰らせたのは、なかまに事情を語らせること。それから一人を選んで伴れ出し、こちらの誰かがその人間の身替りになって、観音谷へ潜入し、実地に当って調べたうえ、焼打ちの手引をする。というのが万三郎の計画であった。

「それはいい、そのとおりにゆけば悪くはないだろう、しかし」

「いや大丈夫です、あいつは決して、裏切るようなことはありません、なぜなら村にいる親兄弟を、われわれに押えられると思いこんでいますから、つまり親兄弟を人質にとっているのも同様なんですから」

「だがもう一つ」

と休之助は追求した。

「あの人間にそれだけのことを、敵に悟られずにやることができるかどうか、あんな軽率の固まりのような男だから、もし敵に勘づかれでもしたら万事が水の泡だぞ」