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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁
七
又平は不意を衝かれ、さっと躱したが、手裏剣は彼の左の肩に突き刺さった。
同時に板の上の男が跳んだ。
跳んだことは跳んだが、そのとたんに板が折れ、当の男はふなばたに躰当りをして、ざんぶと水へ落ちた。
おそらく浅いだろうと思ったのに、浮きあがった男は首まで水に浸っていた。又平はしめたと思った。それだけ深ければ水の中を歩いては来られまい、――落ちた男はと見ると、なにか罵りながら、岸のほうへあがっていった。
そのとき舟がぐらっと揺れた。
「出るだ、出るだよ又さん」
老人がどなった。
七
岸の上では、石黒半兵衛が喚きたてた。
「その舟を動かすな、そいつらは大罪人だ、きさまも同罪だぞ」
「舟を岸へ寄せろ」
と叫ぶ者もあった。
老人は答えなかった。舟はまた大きく揺れ、それからぐらぐらとよろめくように、艫のほうが流れに乗った。
川の中心に向って、艫のほうが出ると、しぜん、舳先はぐっと岸へ寄った。
それと見るなり、岸から一人の若侍が、身を躍らせて舟へ跳び移った。舳先はすぐに岸からひき離されたのであとの者はだめだったが、その若侍だけは鮮やかに跳び移った。
又平は眼の前がぼっとなるように思った。