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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁
見えざる謎
一
「ほんとか小父さん、小父さん本当にあの人の下役なのか」
「いっしょに屋敷へゆけばわかるさ」
「じゃあゆこう」
半次は云った。
「この子はちい公っていって、おいらの友達なんだ、友達だけれど、頼まれた事が秘密だから、ついて来ちゃだめだって云ったんだ、それでもついて来て離れねえからそれですぐにお屋敷へゆけなかったんだ、ほんとだよ小父さん」
「独りじゃ帰れないのか」
と侍がおちづに云った。
「帰れます」
とおちづが答えた。
「じゃあ先にいって、両国橋のところででも待っておいで、この坊主はすぐに帰るからな、さあ、お小遣だ」
侍はふところから財布を出し、小銭を幾らかおちづに与えた。そのとき彼の手の中で、赤い雀がちちっと高く鳴いた。
見えざる謎
一
万三郎は花田の兄と対座していた。
深川はまぐり町の、井伊家の下屋敷の中にある侍長屋の一軒で、邸内では南の隅のほうに当り、そこからすぐ裏手の塀の外は、舟の入る堀になっていた。
その家は七軒長屋で、もとは軽い侍が住んでいたものらしい。まわりには畑(今はなにも作ってはいないが)の跡があり、家の二方を樹立が塞いでいた。
あとでわかったのだが、そこが井伊家から与えられた兄の隠れ家であり、また仕事の本拠であって、七軒には兄の協力者たち十人が住んでいるのであった。