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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁

青空文庫

「すると、江戸から来たあの娘さんは、その押籠められている人と知り合いなのかい」

「そいつはわからねえが」

虎造は首をぐらぐらさせた。

「とにかく、押籠められている人のために、江戸から来たことは慥かだと思うんだ」

「娘さんは一人で来たのか」

「いんや、お侍が五人いっしょに来た」

それから虎造は、その五人の侍のことを話したが、なかの一人は明らかに石黒半兵衛のようであった。睨まれるとぞっとするくらい凄みのある顔だとか、無反の長い刀を差している、などという点から、半兵衛にまちがいないと思われた。

「このあいだまた荷が着いたが、それでもう江戸から送るのは終りだそうだ」

虎造の舌はもつれ始めた。よっぽど酔って来たらしい、眼もたるんできたし、躯ぜんたいが危なっかしく揺れていた。

「おらたちにゃあ、なにが起こるかわからねえ、誰にもなんにもわかりゃしねえ、だがなにかがおっ始まる、なにかどえれえ事がおっ始まるぜ、うん、こんな面妖なことばかりあるところをみると、それに相違ねえと思うんだ」

同じようなことを繰り返し云っていたが、そのうちにどしんとうしろへぶっ倒れた。

「虎あにい、どうしたんだ」