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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁
八
それと同時に、激しい怒りと闘志とが、躯の内部から燃えあがるのも感じた。
声の聞えるのは十番の土蔵であった。その二階の小窓の隙から、よく見るとかすかに灯が洩れている。彼は扉口に近寄った。観音開きには錠が掛っていない、彼は極めて静かに片方の扉をあけてみた。扉の内側は土間で、普通の倉座敷のように、上り框があり杉戸が閉っていた。
謡の声はこんどははっきりと上から聞えて来た。
万三郎は観音開きを閉め、蓑と笠をそこへぬいで、静かに杉戸をひきあけた。
八
杉戸をあけると、そこは六帖ばかりの座敷で、暗くしてある行燈の脇に、夜具をのべて寝ている老女の姿が見えた。
雪の草鞋のままあがり、音のしないように杉戸を閉めた。音はしなかったようだが、老女がふっと眼をさました。
二人の眼が合った。
老女は身動きもしなかった。黙って、じっとこっちを見ていた。万三郎は迷った。
――どうしよう。
手荒なことは避けたい。が、いかにも時間がなかった。彼は低い声で云った。
「起きて下さい、お気の毒だが少し辛抱してもらいます」
「つなさまを助けにいらしったのですね」
老女の声は平静であった。
「そうだ」