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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁

青空文庫

「あとで大将から私のを貰いなさい、いろいろお世話になりましたね、お二人ともどうか気をつけて」

「早くしろ、三郎」

と休之助がどなった、万三郎が出て、仕切戸に鍵をかけると、中でどっちの権兵衛かが叫んだ。

「きさまら、逃げられやせんぞ」

三人はすばやく階段を登った。石倉を出たところに、太田嘉助が立っていた。そして出て来た三人に、向うを指さしてみせた。

松明の火が、ざっと数えて十五六、この石倉を取巻くように並んでいた。そして、そのあいだあいだに、刀や素槍の穂が、ぎらぎらと光るのが見えた。

――あの晩と同じだ。

万三郎はそう思い、

「気をつけろ、弓があるぞ」

と云いながら刀を抜いた。

休之助たち三人は充分に身支度をしていた。足拵えをし、襷、鉢巻に、袴の股立を取って、どんなにでも活躍ができる。が、万三郎はそうする暇がなかった。帯も袴の紐もきっちりとは緊っていないし、この家の鼻緒のゆるんだ庭草履をはいているだけだった。

――またこれで叱られるな。

そう思いながら、彼はぱっと草履をぬいだ。

五

「三郎、おれについてこい」

休之助が云った。

「太田は左、斧田は右だ、かたまるな」