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おばけのしょうたい
おばけの正体
井上 円了
線上閱讀井上 円了《おばけの正体(おばけのしょうたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 74,925 字 · 145 頁
第七六項 死体の鑑定違い
なにごとがありしか分からぬから、隣家を訪うてその次第をたずね、はじめて己が亡者になっていることが知れた。いよいよ自宅へ踏み込んで、「ただ今帰着した」と申したれば、家族の者はビックリし、彼の幽霊であるという。「今日は法事を営み読経を願った功徳で、幽霊が出てきた」と申して、だれも恐れて近づかぬ。本人は幽霊ではないといい、いろいろそのわけを話してようやく生きたるものと分かり、父兄、親戚一同大喜びしたということを、本人から直接に聞いた。もし、その晩に姿だけ見せて、関東へ向け立ち去ったならば、永く幽霊話となって伝わるに相違ない。昔時はかかる間違いの幽霊が、ほかにも必ずあるであろうと思わる。
第七六項 死体の鑑定違い
古来伝うるところの幽霊談中には、往々死体の鑑定違いより起こりたる奇談がある。その一例は、横浜桜木町の幽霊沙汰である。今より十四年前夏ごろの出来事にて、諸新聞に報道せる大要は左のとおり。
去月六日午前三時ごろ、横浜桜木町七丁目第十七号鉄道線路踏切において、無惨の轢死をなしたる男の袂に、千葉印旛郡成田町仲の町三百八十九番地、庄司見新吉と記せし紙片ありしをもって、同署は原籍地へ照会せしに、親戚の者三人来たり、仮埋めとなしおりしを火葬とし、原籍に持ち帰り葬儀を営みたるが、不思議はその後、真正の新吉ひょっこりと故郷