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おばけのしょうたい
おばけの正体
井上 円了
線上閱讀井上 円了《おばけの正体(おばけのしょうたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 74,925 字 · 145 頁
第二〇項 海上の幻影
第二一項 汽笛にだまされた話
暗夜舟をこぐときに、海水が光を発すると同一の道理である。余は、この説をとって、不知火の正体としたいと思う。
第二〇項 海上の幻影
上総の九十九里の海浜にて、一夜海上に怪物の現れたることがある。そのときは暗夜であって、提灯を携えなければ歩くことができぬ。そのとき、海浜を往来するものが驚いて帰り、「海上に大入道が現出している、必ず海亡魂であろう」と申すから、その村の小学校長が事実をたしかめんために出かけて見たが、なるほど大坊主が海上に現れておる。決して神経より発する妄像ではない。しかしてその大坊主は、われが歩けば同時に歩き、止まれば同時に止まり、手をあぐれば彼もまたあぐ。そこでようやく考えがつき、己の身体の幻影ということが分かった。そのときは海面に濃霧がかかり、提灯の光でわが姿がその濃霧に映り、あたかも鏡のごときありさまになっていた。「世に、自分の影にだまされるとはこのことであろう、云云」と校長が話であった。この、霧に姿が映るということは深山に往々あることで、昔の人はその原因をたださずに、ただちに海坊主とか山男とか名づけ、妖怪にしてしまったのである。
第二一項 汽笛にだまされた話