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おばけのしょうたい
おばけの正体
井上 円了
線上閱讀井上 円了《おばけの正体(おばけのしょうたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 74,925 字 · 145 頁
第六五項 紙鳶および浴衣の誤覚
第六六項 幽霊の油をすする音
んやとの勢いにて、さきに立って行き、よくよく見れば、葬礼のときに紙にて造りたる幡が、木の枝に掛かりたるのであったとのこと。
第六五項 紙鳶および浴衣の誤覚
右とよく似たる話は、江州犬上郡客中に聞いたことである。同郡内のもの二、三人にて夜行せしに、林間に幽霊の空中に漂える姿を見、一人まず認めて幽霊と叫ぶに、他の者もみな幽霊といい、驚き恐れて一走りして過ぎ去ったが、翌朝再びその場所に至れば、紙鳶が樹の枝に掛かり、風のために動かされていたことが知れたそうだ。また甲州にて聞いた話には、ある家にて樹の枝に浴衣をほし、晩方に取り入れることを忘れておいたのを、夜中この下を通る人が幽霊と見て大いに驚き、その家へ逃げ込んだということもある。かくのごとき例話はあまり多過ぎて、いちいち挙げることはできぬ。
第六六項 幽霊の油をすする音
ここにまた、江州甲賀郡信楽郷にて聞いた幽霊談がある。某教員が深夜墓畔を通行せしに、白き形の怪物がピシャピシャと音を発して動きつつあるを認め、これ幽霊に相違なしと思い、満身冷汗を浮かべ、ゾッとして身震いするほど恐ろしく感じた。そのときはほとんど夢中になり、かえって最後の勇気を生じ、死を決して奮闘する覚悟を起こして突進したれば、たちまちその正体を発見するに至った。