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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

四

背に波をうって、お通は、いつまでも、袂の中に顔を埋めていた。

四

昼間は、山の横穴へかくれて、眠りたいだけ二人は眠る。

食物も困りはしなかった。

だが――もっと肝腎な武蔵を捕まえることのほうは、どういう量見か、沢庵は捜しにも歩かないし、気にかけている風もない。

三日目の晩が来た。

またきのうのように、おとといのように、焚火のそばにお通は坐って、

「沢庵さん、もう今夜きりですよ約束の日は」

「そうだな」

「どうするつもりですか」

「なにを」

「何をって、あなたは、大変な約束をしてここへ登って来たのじゃありませんか」

「ウム」

「もし今夜のうちに武蔵さんを捕まえなければ」

沢庵は彼女の口を遮って、

「わかっている。まちがえばこの首を、千年杉の梢で縊るだけのことだ。……だが心配は無用、わしだって、まだ死にとうない」

「ではすこし、捜しに歩いたらどうですか」

「捜しに出たって、会うものか。――この山中で」

「まったく、あなたは、気が知れない人ですね。私までが、こうしていると、何だか、なるようになれと、度胸がすわってしまいます」

「そのことだ、度胸だよ」

「じゃあ沢庵さんは、度胸だけでこんなことをひきうけたんですか」