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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

「……しっ、知らんっ。……もう、そ、そんなこと、どうなるものか」

痩せ尖った肩を大きくふるわせ、そして潸然と泣いて叫んだ。

すると、沢庵は拳骨をかためて、不意に武蔵の顔を横から力まかせに撲り、

「この、馬鹿者っ!」

と、大喝した。

あっと、気をのまれた武蔵が、よろめくところを、沢庵は乗しかかって、さらに、その顔へもう一つ鉄拳を下しながら、

「不所存者めッ、不孝者め。おのれの父、母、また先祖たちに代って、この沢庵が折檻してやる。もう一つこの拳を食らえ! 痛いか、痛くないか」

「ウーム痛い……」

「痛ければまだすこし人間の脈があるのじゃろう。――お通さん、そこの縄をおよこし。――何を憚っているか? 武蔵はもうわしに縛られると観念しているのだ。それは、権力の縄ではない。わしの縛るのは、慈悲の縄だ。――何を怖れたり不愍がッたりすることがあろうぞ! 早くよこしなさい」

組み敷かれた武蔵は、眼をつむっていた。刎ね返せば、沢庵の体ぐらい、鞠になって跳ぶであろうに、その脚も手も、ぐったり草の上に伸ばしたまま――そして、眼じりからとめどもなく涙をながして。

千年杉

一

朝である、七宝寺の山で、ごんごんと鐘が鳴りぬいた、何日もの刻の鐘ではない、約束の三日目だ。