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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

三日月茶屋

一

「きっとですね」

「あ」

「城下端れの花田橋で待っていますよ。来ないうちは、百日でも千日でも立っていますからね」

ただ頷きを見せて、武蔵はもう峠づたいに山の背を駈けていた。

三日月茶屋

一

「おばば。――おばばッ」

孫の丙太だった。

跣足で、そとから素ッ飛んで帰って来ると、青い鼻汁を横にこすって、

「たいへんだがな、おばば、知らんのけ。何してるんや」

と、台所をのぞいて喚いた。

竈のまえに、火吹竹を持って火を吹いていたお杉隠居は、

「なんじゃ、仰山な」

「村の者が、あんなに騒いでいるに、おばば、飯など炊いているんか。――武蔵めが、逃げたのを、知らんのやろ」

「えっ。――逃げた?」

「今朝ンなったら、武蔵めが、千年杉のうえに見えんのや」

「ほんまか」

「お寺ではお寺で、お通姉も見えんいうてでかい騒ぎだぞい」

丙太は、自分の知らせが、予想以上に、おばばの血相を物凄く変らせたので、びっくりしたように、指を噛んでいた。

「丙太よ」

「あい」

「汝れ、突ッ走って、分家の兄んちゃまを呼んで来う。河原の権叔父にも、すぐ来てくれというて来るのじゃ」

お杉隠居の声はふるえていた。

だが――丙太が、門を出ないうちに、本位田家の表には、がやがやと人が集まっていた。