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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

五

「ほかへ行って下さい」

「立ち去りますが、連れの男が、実は、下痢腹で悩んでいるのです。恐れいるが、お持ち合わせの薬を一服、病人へ頒けていただけまいか」

「薬ぐらいなら……」

しばらく、考えているふうだったが、家人へ訊きに行ったのであろう、鈴の音につれる跫音が、奥のほうへ消えた。

すると、べつな窓口に、人の顔が見えた。さっきから外を覗いていたこの家の女房らしい者が、はじめて言葉をかけてくれた。

「朱実や、開けておあげ。どうせ落人だろうが、雑兵なんか、御詮議の勘定には入れてないから、泊めてあげても、気づかいはないよ」

五

朴炭の粉を口いっぱい服んでは、韮粥を食べて寝ている又八と、鉄砲で穴のあいた深股の傷口を、せッせと焼酎で洗っては、横になっている武蔵と、薪小屋の中で二人の養生は、それが日課だった。

「何が稼業だろう、この家は」

「何屋でもいい、こうして匿まってくれるのは、地獄に仏というものだ」

「内儀もまだ若いし、あんな小娘と二人限りで、よくこんな山里に住んでいられるな」

「あの小娘は、七宝寺のお通さんに、どこか似てやしないか」

「ウム、可愛らしい娘だ、……だが、あの京人形みたいな小娘が、なんだって、俺たちでさえもいい気持のしない死骸だらけな戦場を、しかも真夜半、たった一人で歩いていたのか、あれが解せない」