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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

武蔵は、そこへ残されてある手紙を見て、

「老爺、これは今の少年が書いたのか」

「左様で。――呆れたものでございますよ、あいつの賢いのには」

「ふーむ……」

感心して見入っていたが、

「おやじ、何か着がえがないか、なければ、寝衣でもよいが、貸してくれい」

「濡れてお戻りと存じまして、ここへ出しておきました」

武蔵は、井戸へ行って水を浴び、やがて着かえて、炉のそばに坐った。

その間に、自在かぎへは、鍋がかかる、香の物や、茶碗も揃う。

「小僧め、何をしているのか、遅うござりまする」

「幾歳だろう、あの少年は」

「十一だそうで」

「早熟ているな、年のわりには」

「何せい、七歳ぐらいからあの居酒屋へ奉公しておりますので、馬方やら、この辺の紙漉きやら、旅の衆に、人中で揉まれておりますでな」

「しかし――どうして左様な稼業のうちに、見事な文字を書くようになったろうか」

「そんなに上手いので?」

「元より子どもらしい稚拙はあるが、稚拙のうちに、天真といおうか何というか……左様……剣でいうならば、おそろしく気に暢びのある筆だ。あれは、ものになるかもしれぬ」

「ものになるとは、何になるので」

「人間にだ」