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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

「兵法は誰について習ったのか」

「我流でございます。――師と申せば、幼少の折、父から十手術の教導をうけましたが、それもよう勉強はせず、後に志を抱きましてからは、天地の万物を以て、また天下の先輩を以て、みなわが師と心得て勉強中の者でござります」

「ふム……。そこで承知でもあろうが、当流は御先代以来、天下に鳴りわたっている宝蔵院一流の槍じゃ。荒い、激しい、仮借のない槍術じゃ。一応、その授業芳名録のいちばんはじめに認めてある文を読んでからにいたしてはどうだな」

気づかなかったが、そういわれて武蔵は下へ置いた一冊を持ち直して繰ってみると、なるほど書いてある。――当院において授業をうける以上は、万一、五体不具になっても死を招いても苦情は申し上げない、という誓約書である。

「心得ております」

武蔵は微笑してもどした。武者修行をして歩くからには、これは何処でもいう常識だからである。

「じゃあこっちへ――」

と、また奥へ進む。

大きな講堂でもつぶしたのか恐ろしく広い道場であった。寺だけに、太い丸柱が奇異に見えるし、欄間彫の剥げた金箔だの胡粉絵具なども、他の道場には見られない。