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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

老僧は、ぺたと坐って、

「方丈があいさつに出るところじゃが、つい昨日摂津の御影まで参ってな、まだ両三日せねば帰らぬそうじゃ。――で、わしが代ってごあいさつ申す仕儀でござる」

「ごていねいに」

と、武蔵も頭を下げ、

「きょうは計らずも、よいご授業をうけましたが、ご門下の阿巌どのに対しては、なんともお気の毒な結果となり、申し上げようがござりませぬ」

「なんの」

老僧は打ち消して、

「兵法の立合いには、ありがちなこと。床に立つまえから、覚悟のうえの勝敗じゃ。お気にかけられな」

「して、お怪我のご様子は?」

「即死」

老僧のそう答えた息が、冷たい風のように武蔵の顔を吹いた。

「……死にましたか」

自分の木剣の下に、きょうも一つの生命が消えたのである。武蔵は、こうした時には、いつもちょっと瞑目して、心のうちで称名を唱えるのが常であった。

「お客」

「はい」

「宮本武蔵と申されたの」

「左様でござります」

「兵法は、誰に学ばれたか」

「師はありませぬ。幼少から父無二斎について十手術を、後には、諸国の先輩をみな師として訪ね、天下の山川もみな師と存じて遍歴しておりまする」

「よいお心がけじゃ。