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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

五

その容子が、処女みたいなので四高弟は笑った。

「ひとつ、貴君のいうところの感じとは、どういうものか、お話し下さらんか。この新陰堂は、上泉伊勢守先生が、当城に御滞在中、先生のため御別室として建てたもので、剣法に由縁のふかいものなのです。こよい武蔵どのの御講話を拝聴するにも、最もふさわしい席と思うが」

「困りましたな」

武蔵はそういうだけであった。

「――感覚は感覚、どういっても、それ以外に説きようはごさらぬ。強いて目に見たく思し召すなら、太刀を把って、私をお試しくださるほかはない」

五

何とかして石舟斎へ近づく機縁をつかみたい、彼と試合してみたい、兵法の大宗といわれる老龍を自己の剣下にひざまずかせてみたい。

自己の冠に、大きな勝星を一つ加えることだ。

――武蔵来り、武蔵去る。

と記録的な足痕を、この土地へのこすことだ。

彼の旺な客気は今、その野望で満身を燃やしながらここに坐っている。しかもそれを現わさずにである。夜も静か、客も静かな裡にである。短檠の光は時折、烏賊のような墨を吐き、風の間に、どこかで片言の初蛙が鳴く。

庄田と出淵は、顔を見あわせて何か笑った。