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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁
二
そこらに落ちている枯れ木を拾って、武蔵は膝に当ててバキバキと折り始めた。それを石垣の隙間に差しこんで、順々に足がかりを作り、やがて彼の影は、空濠の外側へ跳び上がっていた。
二
笛の音はもう聞えない。
城太郎はどこへ隠れ込んだのか。――一切のことが、武蔵の頭になかった。
彼はただ旺盛なる――自分でも持てあますほど旺盛な――血気と功名心の権化となり終っていた。そのすさまじい征服慾の吐け口を見いだすのみに、眼は生命の全部を燃やしていた。
「お師匠さまあ――」
どこか遠い闇で呼ぶような心地がする。耳を澄ませば聞えないのである。
(城太郎か)
ふと思ったが、武蔵は、
(あれに、危険はあるまい)
案じなかった。
なぜならば、先刻、崖の中腹あたりに松明を見たが、それっきりで城内でも自分たちの身を、飽くまで捜索しようとはしていないらしく思われる。
「この間に、石舟斎へ」
さながら深山のような林や谷間を、彼は、彼方此方さまよい歩いた。あるいは、城の外へ出てしまったのではないかと疑ったが、所々の石垣や濠や、籾倉らしい建物を見ると、城内であることは確かなのだが、石舟斎の住んでいる草庵とは、どこにあるのか、捜し当たらないのである。