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こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《故郷七十年(こきょうしちじゅうねん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 頁

青空文庫

近頃でも私に向って、「松岡さんのお元気な時分には……」などと、懐しがって、あいさつしてくれる人がかなりある。

静雄の仕事の中で、私も一番賛成して一生懸命にやらせたく思ったのは、「日蘭通交調査会」の仕事であった。前から「日蘭協会」というのはあったが、それとは別に、この調査会を作って蘭領印度研究をしようとしたものである。弟はいつも出歩いていたので、私が貴族院生活の下半期に、この仕事のために大変働いてやった。

オランダから来る者で、少なくも外務省を通じて物を言える連中は嬉しがらなかったが、じかに蘭領印度から来る人はみな私の所を通るものだから、大分政治的になってきた。それに弟が退役して暇になったため、オランダへ行って事業をやろうとした。オランダではニューギニアをもてあましていたので、日本人に水田を作る場所を提供しようといい出して、大分話が進んできた時、外国から横槍が出て物にならなかった。この頃私はよく中野正剛の雑誌『東方時論』に頼まれて、蘭領印度のことを書いていた。飛行機の利用できなかったあの頃、行ったこともないのに、まるで見て来たように書いたのだから面白い。