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こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《故郷七十年(こきょうしちじゅうねん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 頁

青空文庫

高田十郎君のことなど

あの辺に魚住という地名があったと思う。

高田十郎君のことなど

播州の人で、いちばん我々が大きい影響をうけたというよりは、親しくつき合った人の一人に高田十郎君がいる。早稲田大学の高等師範部を出て、奈良の師範学校につとめ、とうとう播州には帰らずにしまった人である。

赤穂郡矢野村小河(いまの相生市)の旧家光葉という、妙な苗字の家の出であった。この家は蘇我馬子の家臣光菴の子孫とか伝えている。十郎は高田家へ養子に行ったが、生家の祖父、曾祖父といった人たちのことを大変よく書いているので、この古い家のことがよく判る。

筆まめにいろいろなことを研究して、大正のはじめころから、一人で『なら』という謄写版の雑誌を出していたが、決して本にしようとはしなかった。何べんも何べんもすすめて、やっと『奈良百題』と『随筆山村記』などをまとめた。『大和の伝説』も私が序文を書いたのでよく覚えている。『なら』という雑誌も、自分で原紙をきって、謄写版で刷ったものなので、部数も少なく、今となっては得難いものになっている。

専門はたしか歴史だったと思う。ながい間郷里を離れているので、あるいは播州の人には親しみがないかもしれないが、彼の文集はやはり誰か赤穂の人が纏めてくれたらと思っている。