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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《故郷七十年(こきょうしちじゅうねん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 頁
私がはいったときは高等中学校という名前で、その後は高等学校と呼ぶようになった。われわれのころには、地方の県立中学校に三人とか四人とか割り当てて、無試験で入れる制度があった。そのため試験を受けて入ったわれわれは、よくいたずらに、「オレたちはジャンケン組だから、無試験のヤツらとはいっしょになれないよ」などと悪口をいったものである。こちらは苦しんで入ったのに、まず東京の府立第一中学とか、附属中学の連中が上にいて、それから順番に関東五、六県のが上に入っていた。しかしこれらを混合するのが寄宿舎の目的であったらしい。下の部屋で勉強して、夜は階上の、畳を長く敷きつめた八畳ぐらいのところに枕を並べて寝る。けんかもする代りに、親兄弟にもいわないようなことを話し合ったりした。
私はわずかな年限で中学校の上級までの試験を済ませるために、わざわざあちらこちらと転校して歩いた。一つの学校の一年に入ると二カ月ぐらいで他の学校の二年に入り、また三カ月ぐらいで済まして第三の学校の三年に転入するというふうにして、中学の課程を終えたことにしたので、じつに忙しいものであった。体操したり、絵を習ったりする暇はなかったのである。