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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《故郷七十年(こきょうしちじゅうねん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 頁
。大師講の夜に、必ずお粥を食べるという習わしは、穀霊と共食する民間の一儀式であったろう。ここに注目される一例としてあげたいのは、能登半島の奥まった村にアエノコトという祭があることである。アエは饗で、ニイナメ即ちニイノアエに通じるものではないかと思う。
この祭は十一月四日または五日に、田の神をそれぞれの家に迎え、まるで高貴な御方をお迎えするように、家々の主人は威儀を正して歓待するのである。見えざる田の神に対して、「ようお出で下さいました」と挨拶し、まず風呂に案内する。ここでは主人自ら裸になって入ったり、あるいはそばにひかえて湯加減をうかがったりする。それから座敷に御案内して、数々の御馳走を差上げる。田の神は久しく地中にあって、めくらになっておられるからといって、膳の御馳走を一つずつ「これは何でございます」と説明して供えるというのである。この御馳走はあとから家内中でわけていただくとか、主人自らがたべるなど、神との共食であった。これには田の神というばかりでなく、自分の祖先の霊でもあるという信仰が入り込んでいるというのである。
若狭小浜の対岸、大島には、またニソノモリという、墓地と祠を兼ねた祭祀場を各戸がもっている。