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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく
文化史上より見たる日本の数学
三上 義夫
線上閱讀三上 義夫《文化史上より見たる日本の数学(ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 頁
三十二 結論
でなく、実験的に色々のことをやって沿海測量の大業も成り立ったのである。伊能の事業はその結果が立派なものであったというだけではなく、日本人は実験学科の研究においても堪能なるものであることを示すところの生きた実例であったのである。
和算家の使用した手段の精神といい、伊能の実現といい、当時において維新後の実験科学のまさに隆盛を見るべきことは当然予期せられ得たのである。ただ江戸時代には実験科学の勃興すべき社会上の要素が未だそなわらないので、発達の速度を速めなかったのみである。
故に外国の刺激があり、外国の知識も伝わり、そしてこれを必要とする原因が具備した維新後になっては、江戸時代に当時の社会状態の反映であった遊楽的気分の数学よりも、かえって実験学科の方面において見るべき発達を将来することとなるのも決して怪しむべきものではないのである。
三十二 結論
以上、幾多の項目に分かって説いてきた事柄をつづめていえば、次のような結論に達する。
和算は徳川時代の産物であるけれども、それ以前においても日本人はすでに数、または数学的事項に趣味がないものではなく、刺激さえあれば数学の発達し得べき素質を持っていたのである。