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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく

文化史上より見たる日本の数学

三上 義夫

線上閱讀三上 義夫《文化史上より見たる日本の数学(ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 頁

青空文庫

二十 数学と星学

二十 数学と星学

数学と星学の発達は大概相俟って進むもののように思われるが、徳川時代にも大体においてその傾向が認められる。バビロニア、インド、支那、アラビア等では時代によって多少の相違はあるけれども、概して暦術家天文家が数学の進歩に貢献したことが多かった。けれども和算の発達は、星学上の必要が割合にあずかっておらぬ。数学が進歩を始めてから後に星学が起こってくる。それも西洋の影響が多少加わって支那の暦法が研究され始める、数学者が暦術のことなどに注意するようになる、現行暦法の不完全なことが知られて、革新の機運が開ける。こんな風にして貞享の改革はできたのである。その改暦の功労者渋川春海は数学者でなくして星学者であるが、実際その新暦法を作ったものは数学者の手に成り、渋川はこれを伝えられて改暦の運動をしたのだということである。かくして星学発達のために数学が起こったというよりは、数学の発達に促されて暦術が影響を受けたといい得られる。

その後に至っても数学と星学は大体において別々の径路を取ったようである。数学者であって暦術のことに通じた人はもとより多い。暦術に関係のない数学者はあるいは少なかったであろう。